こんにちは、看護師のあまのです!
看護師なら誰もが通る道であろう”インシデント”。
インシデントを起こしてしまった。
新人看護師に限らず、ベテランの看護師でもインシデントを起こす可能性は十分にあります。
初めてインシデントを起こしたときはひどく落ち込みました。
落ち込んだ気持ちを引きずると、さらなるミスにつながってしまうリスクがあります。
この記事では、看護師が起こしやすいインシデントの事例と対処法、落ち込んだ時の気持ちの切り替え方について詳しく解説します。
看護師にはどんなインシデントが多い?
日々、業務をこなしているとさまざまなミスが生じますよね。
『看護職がインシデント・アクシデントを繰り返す要因に関する研究』によると、看護師全体の74%はインシデント・アクシデントを起こしているとされています。
また、厚生労働省の調査によると、以下の場面でインシデントが多く発生していることがわかります。
✓ 与薬・点滴
✓ 転倒・転落
✓ 確認不足
『出典:厚生労働省 全般コード化情報の分析について』
ここでは、看護師に多いインシデントについて紹介します。
与薬・点滴
看護師のインシデントの中で、最も多いのが「与薬・点滴」に関するものです。
それぞれの患者さんに対して、薬剤の投与方法がことなるため、ミスが起こりやすくなります。
与薬・点滴のミスを防ぐため、看護師2人以上によるダブルチェックが徹底されていますが、完全にインシデントを防ぐことができていない状態です。
転倒・転落
患者さんが高齢である、麻痺がある、点滴のルートやモニターなどの装着物をつけているなどの状態によりベットからの転落・歩行時の転倒などの事故が発生しやすくなります。
患者さんの不注意で転倒・転落した場合でも、看護師の観察や転倒・転落の予防策が不十分なこともあるため、病室に訪問した際は患者さんの身の周りの環境が整っているか、しっかりと確認するようにしましょう!
確認不足
日々の業務の忙しさから自分のタスクばかりに気が向いてしまい、患者さんの観察不足を引き起こしてしまうことがあります。
例えば、ドレーン・チューブが引っ掛かり抜去してしまう、接続部がしっかりと接続できていない、などがあげられます。
難しい作業ではないからこそ、業務に追われ、急いで施行してしまうとミスにつがってしまう可能性があります。
しっかりと確認し自分の身を守りましょう!
【5選】インシデントが起こった時の対処法
ミスは誰しもがするものです。
どんなベテランも失敗をしたうえで経験を積み重ねてきました。
インシデントが発生した時は、迅速に適切な対処をすることが重要です。
ここでは、インシデントが起こった時の5つの対処法について見ていきましょう。
・ 速やかに報告する
・ 正しい処置を行う
・ インシデントレポートを書く
・ スタッフ間で周知する
・ インシデントを今後の「糧」にしよう!
速やかに報告する
インシデントを起こしてしまったら、すぐに先輩看護師に報告しましょう。
インシデントの内容によっては、すぐに医師が対応しなければならなかったり、医療行為が進められなかったりします。
適切な処置を指示してもらわなければならないため、発生から報告までの時間を空けてはいけません。
報告する際は、自分の反省や考えは省き、インシデントの状況を端的に伝えましょう。
正しい処置を行う
与薬や点滴のミスがあった場合、すぐに処置が必要です。
医師の指示に従って冷静に処置を行いましょう。
経験の浅い看護師の場合は、自らの判断だけで処置を行うのは危険ですが、ある程度経験のある看護師は、迅速に処置をしなければなりません。
さらに処置をしたあとは、必ず処置内容を報告するようにしましょ。
速やかに正しい処置を行い、さらなるミスの誘発を防ぎましょう!
インシデントレポートを書く
報告や処置が完了したら、インシデントレポートを作成します。
インシデントレポートは、インシデントの発生を予測、再発防止するために大切な報告書です。
インシデントレポートを作成し、看護師全員でミスを共有することで、スタッフ間の意識を高められます。
つい反省文という認識で作成しがちですが、ミスをした犯人捜しをするものではありません。
今後の再発防止の対策という目的のために作成するようにしましょう。
作成する際は反省や考えを省き、6W1Hを意識してください!
スタッフ間で周知する
インシデントレポートを作成したあとは、カンファレンスなどで起こったインシデントの内容を他のスタッフに共有します。
前述したとおり、ミスをした犯人捜しをするものではありません。
今後の再発防止の対策のため意見交換をする場なので、看護師全員での問題意識の向上につながり、同じミスを防止することにもなるのです。
また、スタッフ間で意見交換ができる場であれば、チームの結束力の向上にもつながるでしょう。
インシデントを今後の「糧」にしよう!
インシデントを起こしたら、つい落ち込んでしまいますよね。
ですが、沈んだ気持ちを切り替えるためには「次の行動に目を向ける」ことが大事です。
ベテランの看護師もミスをして落ち込むことで、今後の「糧」にして進んできました。
このインシデントが今後の自分の成長につながる、と考えて少しずつ前に進みましょう。
ミスで落ち込んだときの立ち直り方『5つ』
ベテランの看護師でも必ずミスはしますが、気持ちを切り替えることが得意です。
そんな人たちの共通点は「失敗してもなるべく早く立ち直って、再び挑戦する」こと。
落ち込みを極力引きずらないことが大切ですが、簡単に立ち直るのは難しいことです。
しかし、ちょっとした考え方の変化で気持ちが楽になりますし、切り替えることはできます。
落ち込みやすい人は、以下のことを実践してみると、立ち直りが楽になるでしょう。
1.落ち込んだ原因をしっかりと把握する
2.気持ちを切り替える
3.誰かに話を聞いてもらう
4.リフレッシュする
5.違う道もあると考える
それぞれ解説していきます。
1.落ち込んだ原因をしっかりと把握する
人は誰でも危機に直面したとき、無意識に自分を守ろうとします。
ミスをしたときに自分の心のバランスを保とうとして、あえて自分を責めてしまう防衛反応がネガティブに働きます。
反省して自分を責めることでバランスを保とうとしますが、逆に自分を苦しめてしまっているため、あくまでも客観的に落ち込んだ原因を分析しましょう。
次に同じインシデントを繰り返さないために、何をするべきか考えることが大切です。
落ち込んだ原因を把握すればおのずと改善策も見えてくるでしょう。
2.気持ちを切り替える
インシデントを起こしてしまうと落ち込んでしまい、なかなか仕事に身が入りくくなります。
ですが、起こってしまったことは変えられないため、なるべく早く気持ちを切り替えることが大切です。
落ち込んだ気持ちを引きずっていると、業務に集中できず、新たなミスにつながる可能性があります。
ゆっくり休んで、好きなものを食べたり、趣味に没頭したりと、次の出勤時に前向きな気持ちで仕事ができるよう整えましょう。
なかなか立ち直ることができないのは職場環境が悪い可能性もあるため、そのときは【転職】を検討しましょう!
3.誰かに話を聞いてもらう
信頼できる同僚や上司などに悩みを聞いてもらうのもおすすめです。
ひとりで抱え込まず、人に話すことでストレスや悩みを共有し、サポートを受けることで心の負担を軽減することができます。
一人で自問自答するより、言葉にして聞いてもらうことで気持ちの整理もできるでしょう。
また、同期など同じ立場の人であれば共感もしてもらいやすくなり、アドバイスを得られる可能性もあります。
4.リフレッシュする
看護師の勤務は不規則なことが多く、生活リズムが崩れがちです。
忙しい毎日が続けば、疲れも蓄積し、集中力の低下につながり、そこからインシデントが発生することがあります。
さらに、疲れが溜まっている状態はネガティブな思考になりやすく、落ち込みやすい原因にもなりますよね。
このような悪循環を断ち切るために、たまには自分を甘やかしましょう。
思い切って休みを取って旅行するなど、リフレッシュしましょう!
5.違う道もあると考える
職場の人間関係が悪く、雰囲気も悪いなかでの仕事は苦痛です。
ピリピリとしたなかで業務に追われていると、ひとりでに焦ってしまいミスにつながった、なんて状況の方もいるでしょう。
それはあなたが悪いのではなく、職場環境が悪いのです。
それならば、他の職場を探すのもひとつの手段。今の職場では失敗が多くても、他の職場ではあなたの力が発揮できるかもしれません。
自分の能力を必要としている場所は必ずあると考えて、転職や他の道を選ぶのもおすすめです。
まとめ
ミスをして学ぶことはたくさんあります。
インシデントを起こしてすぐは、前向きな気持ちになれないかもしれませんが、どんなベテラン看護師でも失敗しない人はいません。
人間が対応している限り、インシデントを完全になくすことは難しいのです。
そのため、同じインシデントを発生させないように、なるべく早めに気持ちを切り替えられるとよいでしょう。
【ミスで落ち込んだときの立ち直り方『5つ』】
1.落ち込んだ原因をしっかりと把握する
2.気持ちを切り替える
3.誰かに話を聞いてもらう
4.リフレッシュする
5.違う道もあると考える